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Snow White

昨日、

白雪姫に会いました。



雪のような白い肌に

林檎のような頬

血の色の唇と、

長い睫毛に覆われた瞳を

静かに閉じて、

その小さな顔を、

胸まである栗色の巻き髪で縁取って、


白い棺の中で、

彼女は眠っていました。



ひとつの生命体の一生が、

鋭利な刃物で一瞬にして切断されたその切り口を見ている気がしました。

あまりにも鮮やかで、

美しくて、

この人が息をしていないことはいかにも不自然でした。



今思い返すと、

剥製みたいでした。


生きてるみたいに美しかったけど、

生きてる人とは完全に違いました。




彼女とは昨日初めて出会いました。

全くの赤の他人ですが、

お顔を見て、


なんていうんでしょう


なんでやねん

なんでこんな若く瑞々しい命が絶たれなあかんねん

って、

無性に悔しくなって、


やりきれなくなりました。




彼女は2年間、病と闘い、

そして散っていったそうです。


痛みと苦しみと恐怖と闘いながら、

最後の最後まで、

生きることを諦めなかったそうです。



ご両親と妹さんは、

息をしなくなった長女さんと、

文字通り三日三晩片時も離れずに過ごされたそうです。


昨夜の通夜も葬儀も、

多くの友人や職場の人々の慟哭が、

ホールに響き続けました。




私は、

今回、

もうこの仕事を続けていくのは無理かも

と思いました。



自分の仕事はなんのためにあるのか、

全く意味がわからなくなりました。


言葉を綴るのが仕事なのに、

自分の中のどの言葉も薄っぺらくあざとく、

彼女のためにも遺された人のためにも、

なんの意味も為さない気がしました。


昨夜は帰りたくなりました。

今朝は休みたくなりました。


昨夜、アルバイトから帰宅した娘の顔を見るなり涙が溢れてきて、

急に娘に抱きついてしまいました。

娘はわけがわからないといった顔をしながら、

とりあえず私をヨシヨシって撫でてくれました。



ほとんど眠れず迎えた今朝、

無駄に考え過ぎて疲れたせいか、


至ったのは、


なにかしてあげようなんて、

おこがましい


という結論でした。


昨日出会ったばかりの葬儀屋が、

なにを言おうと、


ご家族にはどうでもいいこと

それどころじゃない


私が彼らの役に立てることなどなにもない


だからせめて、

彼らの痛みを抉るようなことだけはしないように


これから新たに訪れるであろう

とてつもない失意に、

耐えて生き抜く体力を、

少しでも温存していただけるように


彼らが、

己を責める時間が少しでも減りますように


そのために、

ほんのひとときでも、

全力を尽くすしかないと思いました。



じっさい、

なにができたかわかりません。


なんにもできなかったと思います。



白雪姫は、

王子様のキスを待たず、

灰になりました。



私はその出発の号令をかけました。




彼女のおばあちゃんは、

棺の中の美しい孫を見て、

こう仰ったそうです。



「この子は、天国に嫁に行くんやな」
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不惑の年にして戸惑いまくりの女の日記です。

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